一昨日のピカソのつづきです。

美術史上、自画像の画家としてレンブラントやゴッホが思い浮かびますが、実はピカソも数多くの自画像を残しています。

ピカソ自身「私は日記のように絵を描く」と語る。その意味で自画像は、もっとも内密にして素直な心情を告白しているようで興味を引く。

15歳の自画像の優作は将来への漠たる不安とともに、そんな屈折した心理が投影されている。
「ぼさぼさ頭の自画像」とも呼ばれるこの絵のピカソは14、15歳。少年のころは痩せていたにしても、ほかの自画像よりかなり面長に描かれている。

不安に満ちたところか気弱な表情も、見慣れたピカソのものとは違うように感じる。

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1899年から翌年にかけて、深い悲しみの気配と暗い色がピカソの画面を覆うようになる。
木炭で描かれたモノクロームの自画像。

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1901年(20歳)の作品、青年期のピカソの自画像はいつも実年齢より大人びてみえる。
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カリカチュア風自画像(1903年作)
いたずら者の猿が、画家の持ち物であるペンと絵筆を左右の耳にはさみ、なにかたくらんでいるようだ。
悪意やずる賢さ、機知や風刺精神に満ちたピカソの一面がここでは猿に重ね合わされている。
多面的な自我を持ち、それを変幻自在のスタイルで表現できる才能こそ、近代芸術家のなかでもピカソが最も際立つオリジナルな点であろう。

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文面は執筆者大高保二郎氏のまま掲載しております。