錯視芸術家の一人として、サルバドール・ダリを出さずにはいられません。
以前、「好きな画家たち」シリーズでも紹介いたしましたが、彼もまた20世紀の最もオリジナルで並外れた画家の一人である。
さまざまな視覚のトリックを組み合わせたダリの巨匠にふさわしい傑作をご覧ください。
「偏執狂的な顔」 パネル 油彩 1934-35年 62×80cm
小屋の前に座っている原住民を描いたアフリカの村の絵葉書が、インスピレーションを与えてこの作品が生まれた。
小屋の前に座っている原住民を描いたアフリカの村の絵葉書が、インスピレーションを与えてこの作品が生まれた。

「大いなる偏執狂」 キャンバス 油彩 1936年 62×62cm
ダリによれば、小さな人物たちが大きな顔を作るために使われている「大いなる偏執狂」は、地中海地域
で生まれた最も偉大な偏執狂たちを象徴するために描かれた。

「海辺に出現した顔と果物鉢の幻影」 キャンバス 1938年 114、5×144cm
この構図は、海辺、犬、果実鉢そして遠くの風景を結合している。
果物鉢は幻覚的な顔を含んでいる(ダリの作品にはいくつか見られる)。
顔はダリの親友であるフレディコ・ガルシア・ロルカの顔だといわれている。
ロルカは有名なスペインの詩人で、1936年にファシストによって銃殺された。
この作品を近くで見ると、トンネルが犬の目を作り、導水橋がその首輪を構成する複雑なイメージを見ることが出来る。
顔はばらばらな要素から出来ている。片目は水差しの口だし、鼻と口と顎は果物と座った人の背中を結びつけるような配列でできている。

「ヴォルテールの見えない胸像」 キャンバス 油彩 1941年 46、3×5、4cm
「ヴォルテールの見えない胸像」は、ダリがだまし絵的なイメージに熱中した時代の末期に作られてものである。
だがこの作品がこの手法の作品として最も有名な例であることは間違いない。
この絵には、18世紀の偉大なフランスの啓蒙哲学者ヴォルテールのウードンによる胸像が、修道女たちのグループ像で構成されていて、それによって、ヴォルテールが自由思想と無神論の偉大な古典的作品を著した一人であることへのユーモラスな言及にもなっている。
この絵を少し離れて見るか、焦点をぼかして見ると、ヴォルテールの胸像を見ることが容易になるだろう。

1954年(50歳)のサルバトール・ダリ
