今日は午後からラファエロ作「大公の聖母」に手を加えていました。現状の出来はまだ40%位でしょうか。完成までにはまだまだ時間がかかりそうです。

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ところで、この「大公の聖母」の資料を読んでいるとこんなことが書いてある。

この絵はもともと円形画として構想されていたことが、残っている準備素描画から分かる。しかも素描では背後に風景を表す線が認められ、そのため本図においても当初は風景が描かれ、のちの19世紀になってから現在のように暗く塗りつぶされたとみる説もあるが、縦長の画面形式や人物とそれの比率、いや何よりも画面が扱う表現性、その崇高静謐(せいひつ)な効果は現状以外のありようを想像させない。

聖幼児をこのようにかたわらに抱き(左腕に幼児キリストを抱く聖母子像)、正面を向いて立つ聖母の形式は、伝統を反映しているのかもしれない。

さらに聖母子ともに眼差しを下方に伏せることによって、母と子の親愛感を充分に示しながらも新しい優美、清澄、崇高を獲得した。自身のものである純粋な創造物に転化させたわけである。

卵型の顔がこれほど完結性と気品を帯びたことはないだろう。

以上、「世界美術大全集 イタリア・ルネサンス2」(著者 佐々木英也)より