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今日は、私が敬愛するエッセイスト&画家、まだ他にも多種の経歴の持ち主、玉村豊男さんの本より
共感を覚えた文章2編を紹介いたします。


絵を買うというのは、ほかの物品を買うのとはまったく違う。

なにしろなくてもいいものに、高い代金を支払うのである。

その絵がなくても、死にはしないし、その絵があるから空腹が満たされるわけでもない。

壁が淋しければ、ポスターでもカレンダーでもかけておけば済むところを、

本物の絵を飾ろうというのである。

しかし最初の決心には、大きなエネルギーが必要だが、

日常の中に絵がある暮らしが、どういうものがを一度知った人は、それから絵を買う人になる。

絵が好きで美術館によく行き、画集も何冊かもっているが、

本物の絵は買わないという人もいるし、それまで絵にはとくに興味がなかったのに、

たまたま展覧会で見た一点の絵が気に入ってから、その後何点も絵を買うようになったという人もいる。

絵を買う人と買わない人のあいだには、どこかに思い切ってジャンプしなければ越えられない溝があるのだろう。

       (「絵を描く日常」 玉村豊男著より)