昨日の日経新聞の記事の「岡田三郎助」を読んで、改めて私は彼の絵に興味を抱いていたことを思い出しました。

有名な「あやめの衣」をはじめ沢山の写実人物像を描いた岡田三郎助ですが、新聞記事を読んでいて興味ある人柄に出くわすが、画家の顔が思い出せません。

インターネットで検索の結果若き頃と晩年の写真が見つかりました。

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「支那絹の前」1920年帝展に出品したこの作品制作に、岡田は精魂込めて臨んだはずだ。しかしモデルを務めた画家の妻はこの絵のことに言及し、「主人はわたしをかくのが目的ではなくて、着物をかくのが目的なのです」こんな不満げな言葉を残したという。

モデルの八千代夫人のあまりうれしくなさそうな表情、その後二人の不仲が高じて、八千代夫人は家を出てしまったそうだ。

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これとは対照的に「あやめの衣」は一度見たら忘れられない素敵な絵です。
1927年作、新聞記事によるとこのモデルの女性は、銀座の裏通りの店のマダムだったそうだ。

「マダムのその堂々たる体躯は祖父がオランダ人であり、外国人の血の面影があるからでしょう。店を気に入って通ううちに、マダムは当時画壇の長老、岡田三郎助のモデルを、数年にわたってつとめたことを告白した。

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やはりこのマダムをモデルに描いたであろう作品を、地元のメナード美術館で2作品見たことがある。

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人物評として師匠の黒田清輝は、岡田の特色は「形よりも色に於いて勝るれて居る」と評した。岡田君は初めからこういう絵を描くこうと考えて掛かり、そしてそういう画になると、黒田は言っている。

そして岡田君は面倒臭いということを知らないとも評している。そういう緻密な絵であり、注意深く見なければその良さがわからない絵である。

また彼自身の言葉では、こうも語っている。

「油絵の本質は、どこまでもどこまでも突っ込んで行くところにある。体力のすべてを動員し、研究のすべてを尽し、修正に修正を重ねて完璧なものにするのが油絵である。そしてそれがためには断じて中途で挫折することにない強烈な意欲が必要なのである。」

「油絵の筆触には、油絵の具を充分伸ばすだけの腕力」そして「腕力よりも一層腰の力が大事だ」

「残るものは絵だけだよ。絵かきはそれで能(よ)いのだよ」